登山者のためのトレーニング、疲労しない山歩きなどを解説した本です。
この本を読もうと思った理由は2つ。
ひとつは10月頭の上州武尊トレイル50Kで武尊山に登ったとき、単にトレイルで走るだけでなく、色々な山に登るのが面白いと思ったこと。もうひとつは、トレランの登りで歩いているのにどんどん差をつけられる登山経験者らしきオッサンを見ながら、あんな風に登りに強くなりたいと思ったから。
登山者としてどのように身体を鍛えればよいかなど書かれている本なのですが、読んでみるとトレランやランニングのトレーニングと重なる部分が多々ありました。
登山にはスピードは全くと言っていいほど必要ないものの、筋力と持久力をあげる必要があり、持久力アップのためには最大酸素摂取量(VO2max)と無酸素性作業閾値(AT)をあげるべしというもので、これはまさにランニングの強化そのもの。先日このブログにも書いたクロストレーニングを勧める本でも同様に書いていましたが、インターバルなど最大酸素摂取量をあげるキツいトレーニングや、ATをあげる長時間のトレーニングですね。
持久力を上げるトレーニング、筋力を上げるトレーニングは様々な方法はありますが、登山者にとって最も有効なのは、やはり登山をすることとのこと。
筋力としてはは大腿四頭筋を鍛えるのが重要なので自転車でもよさそうなものの、それでは短縮性収縮である上り用の筋力強化はできても、伸張性収縮の運動である下り用の筋力強化ができない。これは私も久々にトレラン大会に出たときに実感したもので、トレランの筋力はトレランでないと身にはつきません。特に下りですね。
登山のコツとしては、目新しいことも特になく、歩幅を少なめにして筋力を温存するなどです。でも、速い速度で山を登る人は歩幅が狭くはないんですよね。ということは、やはり登りの筋持久力を鍛えて疲れないようにするぐらいしかないように思いました。上りの筋力なので、これは自転車でもよさそうですが。
以上は基礎編として書かれているもので、発展編としてはクライミングと高所登山のことが書かれています。
フリークライミングとアルペンクライミングと体操選手の比較や、高所順化の指標である動脈血酸素飽和度(SpO2)のトレーニングなど、なかなか面白い内容でした。
登山の運動生理学百科
著者:山本 正嘉
東京新聞出版局
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